いじめ問題
小学生の頃、私は背が低くて色白で細身で運動が苦手だった。
背が伸びだしたのは中学2年生くらいになってからで、それまではだいたいクラスで1番背が低かった。
1980年代の九州だったから、そういう見た目はあまり良いことは無くて、それなりに勉強もできたりしたから、今にして思えばいじめられる要素はそろっていた。身体も弱くて病気がちだったし。
しかし私はいじめられなかった。
そりゃあ、子供の頃の話だから、グループでハブにしたりされたり、喧嘩したり、たまには1人対多数の無茶な勝負も有った。けど、いじめは無かった。
小学校1年2年の頃、私のクラスにはボウズのガキ大将がいた。勉強は出来なかったが、ハンサムでスポーツは万能だった。ちょっとヤンチャだったので、先生は扱いに困っていた。
彼はとても気さくなヤツで、休み時間になると周りの男子に声をかけて遊びに繰り出していた。私もよく一緒に遊んだが、運動音痴なので失敗ばかりしてチームに迷惑をかけていた。彼は誰かが失敗すると大きな声で励ましたり、なじったりするヤツがいると殴りに行ったりして(本当に)、弱いもの、下手なものを守っていた。
みんなそのボウスが好きだったから、喧嘩しながらも仲はとてもよかった。女子はぶーぶー言っていたが、中学生くらいになると彼は女子の中でも人気者になっていた。そんなもんだ。
私が小学生、中学生の頃は、こんなガキ大将が学年に何人かいた。彼らは陰湿ないじめが嫌いで、自分たちのテリトリーを大切にしていた。
何だかサル山みたいだが、このシステムは本当に優れていた。
グループの中でトラブルを起こしながら、それぞれが集団での立ち振る舞いを学んでいく。自分の得意分野を知っていく。ちなみに私は「先生を黙らせる係」だった。私もまた扱いにくい生徒だったに違いない。
最近のいじめに関する報道をみていると、こんな子供の小さな社会は無くなっているんだろうか?と思う。ガキ大将は絶滅したのか?それとも、そんなのとは関係無しにいじめは起きるのだろうか?