死にかける男 その2
こんばんは。筆不精な男、加藤です。
死にかけ談ってのはやはり訴求力があるのか、「続きはまだか」という声を珍しくいくつかいただいておりました。年末年始バタバタしておりまして、自分語りも若干億劫なのもあり更新をサボっていましたが、年を大幅にまたいでの続きです。
前回の記事:死にかける男 その1
突然右目が見えなくなった私は、その場にいた友人2人に
「今、右目が突然見えなくなった」
と伝えました。
何故か落ち着いている私と、びっくりする友人。
こういう時ってもっと慌てるかと思いましたが、「やばいかも」という時には人は逆に冷静になることもあるようです。
「とりあえず病院に行くべきだよね」
ということになり、急遽行き先をレストランから病院に変更。友人2人も付き添ってくれることになりました。英語があまり得意ではない私にとっては大変ありがたいことです。
▲結局入院することになりしばらくお世話になったヘルシンキの病院
さて、ここからどうするべきか。あいにく今日は土曜日で、どの病院が診察を受け付けているかも分かりませんし、できればクレジットカード付帯の海外傷害保険が使えるところが良いななどと考え(←正解)、
自分が持っているクレジットカードの中で最もグレードの高いカードのサポートデスクに電話をします。
「えーと、フィンランドのヘルシンキにいまして、突然目が見えなくなったんですが、どの病院に行ったら良いか調べられますか?」
「えっ・・・!?」
そりゃ「えっ!?」ってなるわ。すぐには分からないとのことで調べて折り返し電話をくれることになりました。
待っている間に来たバスに乗ってヘルシンキの中心部に向かいます。ヘルシンキ駅であればタクシーを捕まえるのも楽でしょう。
駅に着いてしばらく電話を待ちます。寒い。
「~~~という病院が診察を受けているようです」
「ありがとうございます。ちなみにこれって付帯している海外傷害保険って適用されますか?」
「えーと、失礼ですが今回の症状は持病ということはありませんか?」
「え?」
「通常の老化現象とか・・・」
「いや、常識的に考えて急に老化が進んで右目が見えなくなるってないと思いますねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・」
クレジットカード会社の対応はほぼ完ぺきに素晴らしかったのですが、ここのやり取りだけがダメでした。マニュアルだとすれば改善すべきでしょう。このやり取りは案外時間がかかって、実は僕の症状は意外と切迫していたのでこのタイムロスはあまりよろしくないものでした。最終的に死んでいないので結果オーライなんですが。
※このような海外での事故や疾病で病院にかかる必要がある場合、必ず利用する海外旅行傷害保険の窓口に一報を入れること。クレジットカード付帯であればクレジットカードのサポートデスクへ。契約内容により治療費が保障されるのはもちろん、通訳サービスや日本の医師による電話サポート、料金の支払いに関する交渉サポートなどがあり、とても助かります。契約により必要な電話代の補填もあり、その場合電話代などを気にしなくてよいというのも心強いでしょう。若い方などで稀に保険無しで海外渡航する方がいますがお勧めしません。
タクシーを捕まえて病院へ。その日は土曜なので病院の正面入り口が開いていません。建物を回って緊急窓口を探したり、どういう症状?それだと棟が違うからここへ行け、ということを数回繰り返し、時間がどんどん過ぎていきます。気温は氷点下。寒い。
そうこうしているうちに何となく右目が明るくなってきて視力が少しずつ戻ってきました。なんか治ってきたんじゃないか、もう帰っても良いかも、などと私は思ったりしていましたが、友人の1人が「診察は受けろ」と強く言うので、とりあえずそうですねということで、ようやく病院の救急窓口にたどり着きました。
パスポートを携帯していないとかで友人に取りに戻ってもらったり(海外ではパスポートは携帯しよう!)、土曜日で医師が少ないこともあり、寒いロビーでひたすら待ちます。
その内に右目はほぼ完全に視力が戻り、ひょっとして目が見えなかったのは勘違いだったのでは、などと思い始めてきます。痛みもないので自分としては今現在は完全に健康体(のつもり)。発症してから早5時間、付き合ってもらっている友人達にも悪い気がしてきます。
夜の9時を回ってからようやく研修医の問診を受け、その後再度医師の検診を受け、体中を触診され、触感の有無や動かせるかどうかということをつぶさに聞かれ、更にどのように視力がなくなったのかを細かく聞かれ、右ほほの痛みを説明し、最終的に3D-CTを撮りましょうということになりました。
3D-CTを無事に撮り(ここの詳細は割愛。点滴で大量の血管造影剤を全身に流すので身体全体がホカホカになる)、待つことしばし。
「何事もないと良いね~」
などと友人と話しながらさすがに眠くなり、お腹も空いてボーっとしていると、看護師さんが車いすを押して近づいてきました。
「?」
「これに座って(英語)」
「俺?」
「いいから早く(英語)」
あれなんか大げさですね、北欧ってのは高福祉国家だけあって妙に丁寧なんですね、と勝手に解釈し、車いすに座って友人にニヤニヤしながら手を振ってみたりします(アホ)。
(つづく)
余談
北欧ってところは男性も女性もみんなキレイ。ここに出てきた研修医、医師、看護師は皆女性で、皆美人でした。研修医のお姉さんは「Student has problems!(研修医ピ~ンチ!的な感じ?)」と何度か笑いながら言っているのがかわいかった。良いか悪いかは別として。