よーく考える男

世の中はすっかり変わってしまった。
新型コロナウイルスのニュースを見ない日は無い。

昨年末に誓った目標は、予想もしなかったパンデミックによりそれどころではなくなった。

イベントの現地取材、イベント開催、海外取材、海外展開、それらを売りにしていた僕の会社の事業は、そのほとんど全てが一斉に停止した。

世界の景気は良かった。

世界の経済は実は堅調だった。

新型コロナウイルスで世界が止まってはじめて、僕のビジネスは好調な世界経済に支えられていたことを痛感した。

しかし世界経済が止まる。

タイミング悪く、2020年は事業を拡大すべく、僕の会社にとってはかなりまとまった数の新規採用が決まっていた。
メディア事業に加えて色々な事ができるようになる。
既存の強みを少しずつ強化して、じっくり土台を固めよう。
まずは増える社員に対応するための資金増強を。

のはずだったが、しかし資金増強は進まなかった。
世の中は新型コロナウイルスの影響を受けて危機に瀕している中小企業への支援を急いだ。
それは全く正しい。

その正しい社会の動向は、事業拡大を理由とした資金増強を阻害した。
新型コロナウイルス関連でなければ後回し。
話が全く進まない。

やばい。
手が打てない。

海外とのコネクションも役に立たない。
世界中が止まっている。
第一世界どころか家から出られない。

万事休す。

なんだけど、結局また僕の会社は死ななかった。
お陰様でこんなご時世でもどうにかこうにか、楽ではないけどまあギリ健康と言っていい。

大体のことは、早めによーく考えて行動することで何とかなる。

起業して約7年半、僕はすっかりビビリになった。

自分の機転や爆発力や才能は信用しない。
お金関係で幸運は起きない。
祈っても無駄。
ダサい決断こそ勇気。
ヤバいかもと思ったら大抵マジでヤバい。
周到な準備が全て。

後天的に獲得した「小心」のスキルは、またしても僕の会社を救い、ドラマチックな破滅を回避し、極めて地味に事業継続に成功した。

世の中は1000年後の教科書に載るレベルで激変しているが、ベンチャーとかスタートアップとかっていう界隈は世の中が穏やかなときでも常に激変している。
不景気になったとて、超大変、が、ウルトラ超大変、になるだけだ。
人間は慣れる。
ウルトラ超大変な状況も数度経験すれば慣れる。

ビビリな僕は今回も運が良かった。

それだけの話だが、せっかくまたしても生き残ったのでこれからの世の中に少しでも役に立ちたい。
この後即死しないように気をつけながら。
できればちょっと儲けられれば尚良い。

世界がこのまま変わり続けて「ニューノーマル」なるものになるのか、或いは穏やかに元に戻っていくのか僕にはわからないけど、
まあ大丈夫、多分。
世界はこれからも続いていくし、楽しいことも辛いことも今までと同じ様にある。
頑張りましょう。
万事何とかなります。早めによーく考えて行動すれば。